
名前の出どころ
2019年のプログラムと、残った名前
DeepNudeはに公開されたWindowsとLinux向けのデスクトップソフトで、着衣の写真から偽の画像を作りました。作者は同じ年に配布を止め、後継版は出ていません。いま残っているのは製品名ではなく、検索語としての名前です。
元のプログラムは利用者のパソコンの中で動きました。無償版は結果全体に大きな透かしを入れ、50ドルの有償版はそれを隅の「FAKE」の刻印に縮めました。この差が、のちに起きたことを言い当てています。売れたのは画像を計算する能力ではなく、偽物だという警告を消す能力でした。
サービスではなくソフト
一度ダウンロードして自分の機械で動かす形で、アカウントも中継サーバーもありませんでした。いま名前を使っているものに、この条件を満たすものはありません。
作者自身が止めた
報道とダウンロード数が数日でプロジェクトを閉じました。引き継ぎも後継も、名前を受け継いだ組織もありません。
複製だけが残った
ファイルはすでに出回っていて、以後は誰でも包み直せる状態になりました。匿名のパッケージはここから出ています。
名前が分類名になった
いまは検索語として機能します。打ち込んだ人が行き着くのは、集客のためにその名前を使うウェブサービスやボットです。
ですからこのガイドは「そのアプリ」の話をしません。話すのは、どのサービスを誰が運営しているかです。数日で何が起きたのかは2019年に何が起きたのかに、いま動いているモデルが実際に何を計算しているのかはDeepNude AIと名乗るサービスの中身にまとめています。
どんな形で出会うか
5つの入れ物、5つの商売
6つのウェブサービスのほかに、同じ名前は4つの包み方で出てきます。課金の仕方はそれぞれ違い、違う部分こそ広告では消されています。
- ブラウザのサイトいちばん多い形です。タブが1つ、アカウントが1つ、計算は他人のサーバー。端末には何も残りませんが、ファイルが手元にある状態にも戻りません。
- スマートフォンのアプリいちばん探されていて、いちばん実在しない形です。多くは同じウェブページを開くだけの殻で、週単位の課金を抱えているものもあります。
- APKファイル手動で入れる形で、署名はどの持ち主にもたどり着きません。出回っているのは同じ数種類の組み立ての繰り返しです。
- Telegramのボットチャットの中の自動アカウントです。入れるものはなく、読める規約もなく、識別子は翌朝には変わっていることがあります。
- 危険転売のアクセス権閉じたチャットで個人が売る認証キーや「プレミアム」アカウント。取り消せない方法で支払わせる設計です。
5枚のカードは5つの違う商売です。APKはインストールそのものに、ボットは持ち主の見えないサーバーでの作業に課金します。転売のアクセス権は一度請求して消え、ストアの殻は3回のタップで契約され解約に十数回かかる週課金で生きています。
入れ物ごとの詳細は別のページにあります。ストアの方針と殻の見分け方はストアにあるアプリとないアプリ、名前を冠したドメインが何を指しているかは同じ名前のドメインの整理です。
支払う前に
外から確かめられる5つのこと
以下はすべて、1円も動かす前に自分で読める項目です。損の出やすい順に並べています。
1枚あたりの単価
広告に出る数字はほぼ常にパックの値段で、パックは比較の単位として間違っています。支出を決めるのは、1回の処理で減る残高と、納得するまで繰り返した回数です。
Ainudezでは画像1枚が15クレジット。9.99ドルのパックなら1枚およそ0.30ドル、199.99ドルのパックなら0.03ドル前後まで下がります。この10倍の差は大量利用への報酬ではなく、法人名を出していないサービスへの前払いに対する割引です。
支払い方法と返金
支払い方法は、あとでお金が戻る余地があるかどうかを決めます。AinudezとUndresswithは暗号資産のみで、間に入る銀行がなく、取引が記録された時点で購入は終わりです。WaveSpeedはカードとPayPalに対応するので異議を申し立てる先は残りますが、クレジット自体は換金できないと明記されています。返金の期間を書いているのはUndressHerだけで、14暦日、利用分を按分して差し引く条件です。
反対側がDeep Undressです。会費を含めて販売はすべて最終とし、取引明細に出る名前がサービス名と違う場合があると自ら警告しています。止めたい課金を追えなくなる理由として、これがいちばん多いものです。
送ったファイルの行方
問いは1つです。入ったファイルと出た結果はサーバーに何日残り、削除の請求は誰に宛てるのか。単一の期限を書いているのはUndresswithだけで、暗号化して最大24時間、その後削除。ただし同じ文書が、アカウント・決済・IPアドレスの記録は7年間保存すると定めています。画像は消えますが、それを求めた人についての記録は消えません。
Deep Undressは3つの画面で3つの答えを出し、どれも互いに調整されていません。AinudezとWaveSpeedは「必要な限り」という書き方で、これは管理者の裁量であって期限の約束ではありません。Pornworksは外から読める文書が1つもありません。
運営者は誰か
6つのうち、調べられる身元を書いているのは2つです。WaveSpeedはシンガポールと香港の登録2社を住所つきで記載し、UndressHerはTelelink Network Limited(英領ヴァージン諸島)を挙げ、紛争もその地の裁判所で解決すると定めています。日本の利用者には費用も言語も遠い場所ですが、それでも宛先はあります。
残りは空欄です。Ainudezは「エストニア拠点」とだけ書き、法人も住所もありません。Undresswithは会社の後ろ盾がないチーム紹介ページを置き、捜査機関向けの連絡先にも無料メールを残しています。Pornworksはドメイン登録者を非公開にしています。
日本の法律の線
法律の問いは、どのソフトを使ったかではありません。ある人についての性的な素材が、本人の意思と関係なく作られ広まったかどうかです。刑法175条(e-Gov法令検索)が見ているのは、わいせつな電磁的記録を頒布したか、公然と陳列したかです。作られ方は要件に入らず、自分で見るために手元に置くことも対象になっていません。日本の事業者が出力にモザイクを入れるのはこの条文が理由で、海外のサービスはその前提を共有していません。
よくある質問
最初に聞かれること
答えられる範囲だけで答えます。日本の法令の条文、の報道、そして各サービスが自分について書いている文書です。
DeepNudeとは結局なんだったのですか
2019年に公開されたWindowsとLinux向けのデスクトップソフトで、着衣の写真から偽の画像を計算しました。無償版は大きな透かしを入れ、50ドル版はそれを隅の「FAKE」の刻印に替えました。アカウントもサーバーもなく、利用者のパソコンの中で動きました。
そのソフトは今も手に入りますか
正当な入手先はありません。作者が2019年に配布を止め、引き継いだ人もいません。出回っているのは古い複製を匿名で包み直したもので、検証できる署名も更新もありません。
この手のアプリがGoogle Playにないのはなぜですか
Google Playの不適切なコンテンツに関する方針が、性的なコンテンツやポルノを含むアプリを認めていないからです。同じ方針は、ディープフェイクなどの技術で作られた同意のない性的コンテンツも違反例として名指ししています。同じ名前で公開されているものは、多くがウェブページを開く殻です。
日本で使うと違法になりますか
行為によります。わいせつな電磁的記録を送信により頒布すれば、作られ方を問わず刑法175条の対象です。実在する人を撮影した記録が関わる場合は性的姿態撮影等処罰法も動きますが、その条文は撮影を起点に定義されているので、加工だけで作られた画像に自動的に及ぶわけではありません。実際の摘発で使われたのは名誉毀損や児童ポルノ禁止法でした。具体的な事案は弁護士に相談してください。
6つはどうやって選んだのですか
日本語でこの名前を検索したときに繰り返し現れ、資料を読んだ時点でも応答したものです。アクセス数のデータではなく編集部の観察です。調べたのは、誰の写真も処理せずに確かめられることだけ、つまり料金、削除期限、運営者名、支払い方法です。公開されていない項目は、他のサイトの数字で埋めずに、書かれていないと記しました。